平成17年11月5(土)及び6日(日)の二日間、総務省主催による「地域におけるICタグの高度利用及び自立分散協調型ネットワーク構築に関する調査検討会」の実地試験が、毎年10月下旬から11月初旬にかけて桐生市内各所で開催されている「桐生ファッションウィーク」を会場としておこなわれました。この調査検討会では、桐生のような中規模地方都市で開催されるイベント会場を試験場として、高度情報化技術であるICタグ(RFID)やピアツーピアネットワークの地域コミュニティにおける有用性を検証し、ユビキタスネットワーク時代における地域情報化の推進モデルを提案してゆくことを目的としています。この調査検討会は、総務省が主催し、慶應義塾大学環境情報学部の國領二郎教授を座長に、早稲田大学の松本充司教授、NPO桐生地域情報ネットワークの塩崎泰雄理事長、有限会社ブレスの小保方貴之代表取締役、群馬大学工学部の弓仲康史助教授らを主たるメンバーとして、4つの大学と5つの企業、桐生を中心とする複数の地域団体が参加する実地試験となりました。
実地試験は、桐生市本町二丁目の有鄰館をメイン試験場として、桐生市内数カ所に端末を設けてICタグを利用したイベント会場の情報取得や、口コミ情報の掲載、電波ポスターによる案内など、高度情報化技術を用いた実地試験システムの地域コミュニティにおける社会的有用性が試験されました。この実地試験システムを利用するための「鍵」となるICタグは、事前配布分と当日分をあわせた約1500個が、来場者の中から参加を希望した方に配布されました。今回の実地試験で利用したシステムは、利用者が事前に自分の趣向情報(見る・買う・食べる・参加する)を登録しておくことで、各イベント会場に設置された端末(パソコン)にICタグをかざすだけで、その人に有用なイベント情報を得ることができるネットワークシステムで、NTTネットワークシステム研究所の星合隆成氏(平成18年度群馬大学地域共同研究センター客員教授)の提唱するSIONET構想に基づくものです。また、各イベント会場の情報を「口コミ情報」として携帯電話のメールでアップロードすることで、会場内の端末からその「口コミ情報」を閲覧することができるようになっていました。今回構築したネットワークシステムの利用者側から見た有用性、問題点等を明確にするために、ICタグを利用した方には利用終了後にアンケートに答えてもらい、今後、地域における高度情報化ネットワーク構築のための重要な資料としました。このような試みを地元桐生市で実施できたことは、非常に有益であったと思っております。
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ICタグを登録する参加者(桐生市有鄰館) |
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